「日本のシンドラー」とよばれ戦時下において、難民を救うため独断でビザを発行し続けた杉浦千畝。 ...（）

昭和のエピソード

杉浦千畝と東条英機の共通点

「日本のシンドラー」とよばれ戦時下において、難民を救うため独断でビザを発行し続けた杉浦千畝。その数年前に、やはり国籍人種を問わず、リスクをかえりみず人命を第一に考え行動した日本人たちがいる。 1938年、ナチスの迫害から逃れるため亡命をはかろうとしていたユダヤ人18名が、シベリア鉄道・オトポール駅にて足止めをくらっていた。原因は途中通過先となる満州国の外交部が消極的な態度であったため、ときのハルピン陸軍特務機関長および陸軍少将であった樋口季一郎は、独断でユダヤ人の通行許可、物資の支援をおこなった。この脱出ルートは「ヒグチ・ルート」とよばれ、1938年以降多くのユダヤ人がこのルートから亡命した。その数は数千人とも数万人ともいわれる。この日本陸軍の対応に同盟国であるドイツは再三にわたり猛抗議。独断での対応をおこなった樋口季一郎個人も陸軍内で大きな批判を浴びた。樋口は関東軍総参謀長東条英機中将に対して「ヒトラーのおさき棒を担いで弱いもの苛めをすることは正しいと思いますか？」と伝えたその意をくんだ東条は、再三のドイツからの抗議も「当然なる人道上の配慮によって行ったものだ」と一蹴した。これが有名なオトポール事件である。

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