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「自分の住むところには 自分で表札を出すにかぎる。自分の寝泊まりする場所に 他人がかけてくれる表札は いつもろくなことはない。病院へ入院したら 病室の名札には石垣りん様と 様が付いた。旅館に泊まっても 部屋の外に名前は出ないが やがて焼き場の鑵にはいると とじた扉の上に 石垣りん殿と札が下がるだろう そのとき私がこばめるか? 様も 殿も 付いてはいけない、 自分の住む所には 自分の手で表札をかけるに限る。 精神の在り場所も ハタから表札をかけられてはならない 石垣りん それでよい。」

石垣りん

『表札』。

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発言者 石垣りんについて

石垣りんのプロフィールを紹介します。

  • 石垣りん
  • 戦後日本を代表する女流詩人。戦前・戦後と時代が大きく変わるなか生活者の視点で「生きる」ことを鋭く端的な言葉で表現した。代表作に「挨拶」「表札」がある。高等小学校を卒業後、銀行に就職。以後、定年まで働き続け、仕事の合間をぬって創作活動をおこなった。39歳のときに初の詩集『私の前にある鍋とお釜と燃える火と』を発表。『表札など』『略歴』などの詩集のほか、『ユーモアの鎖国』『詩の中の風景 くらしの中によみがえる』といったエッセイがある。2004年(平成16年)12月26日、都内の病院にて死去。死因は心不全。
石垣りん

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