中村裕の写真、名言、年表、子孫を紹介

中村裕

なかむらゆたか

ジャンル

学者・教育者

出身

大分県

生年月日

1927年3月30日

没年月日

1984年7月23日

年齢

満57歳没

“日本パラリンピックの父”と呼ばれる医学者、整形外科医。 九州大学医学部卒業後、九州大学整形外科の医師となる。その後、国立別府病院整形外科科長となった中村はリハビリの研究にあたったが、当時の日本ではリハビリは未知の領域であったので、その研究のため欧米へ留学する。その時に訪れたイギリスのストーク・マンデビル病院国立脊髄損傷者センターで、車いすの障がい者たちがバスケットボールをしている姿を目撃し激しい衝撃を受ける。ストーク・マンデビル病院ではスポーツを医療とリハビリに取り入れており、８割以上の患者が半年以内に社会復帰を果たしていた。これは当時の日本では到底考えられないことであり、中村は日本でもスポーツをリハビリに取り入れることを決意する。しかし当時の日本では「障がい者の治療には安静ことが最良」と考えられており、中村の考えは猛烈な批判を受けた。それでも中村は根気強く医療関係者や行政などに説得してまわり、ついに1961年（昭和36年）、「第一回大分県身体障害者体育大会」という全国初となる障がい者のスポーツ大会を実現させた。だが、「障がい者を見世物にするな！」などと批判が殺到、さらに大会の規模が小さかったこともあり中村が期待する成果は得られなかった。そこで中村は世間からの関心を集めるため、世界大会に参加することを決意。1962年（昭和37年）、当時世界で唯一の障がい者スポーツ大会として知られたストーク・マンデビル大会に２名の選手を送り込んだ。これはアジア初のことであり、世界にも大きく報道され、世間も障がい者スポーツを注目するようになった。次に中村は1964年（昭和39年）に開催されることが決定していた東京オリンピックのあと東京パラリンピックを実施すべく東奔西走する。「東京オリンピックのあとに東京パラリンピックを開催できないとなれば、福祉国家ニッポンの看板は偽りになる」と強く訴え続けた中村の熱意は少しつづ賛同者を集め、東京パラリンピック開催は決定した。 1964年11月8日、23カ国428名が参加し、いよいよ東京パラリンピックが開催された。この時、中村は日本選手団団長を務めた。大会は無事終わったものの、日本人選手たちの多くが施設や病院暮らしなのに対し外国人選手のほとんどは健常者と変わらない生活をしていることに中村は愕然とし、解団式で「これからは慈善にすがるのではなく、身障者が自立できる施設を作る必要がある」と述べた。翌年、中村は「保護より機会を」をモットーに障がい者施設「太陽の家」を創設、障がい者の社会復帰に尽力した。 その後も中村はフェスピック大会（極東・南太平洋身体障害者スポーツ大会）や「大分国際車いすマラソン大会」を実施するなど、障がい者スポーツの普及と発展のために邁進し続けた。日本に車いすバスケを紹介したのも中村であった。 1984年7月24日、死去。死因は肝不全。 2018年（平成30年）に放送されたNHKスペシャルドラマ『太陽を愛した人』は中村の生涯を描いたものである（主演：向井理）。また中村について書いた本には『太陽の仲間たちよ―身体障害者とある医師の挑戦』（三枝義浩 著）や『日本のパラリンピックを創った男 中村裕』（鈴木款 著）などがある。 ちなみに妻との間に3人の子供がいたそうで、息子であり大分中村病院院長の中村太郎氏は2020年（令和2年）東京パラリンピックの選手用医療統括責任者を務める。 日本の福祉をスポーツを通して向上させようと努力し続けた中村の言葉は名言として今も知られる。 「障害者の能力を評価するための完全な方法などは存在しない。働く能力は無限である。彼らに働くチャンスを与えることこそ重要である」

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