鶴田義行
つるたよしゆき
日本競泳史上初のオリンピック金メダリストにして、日本人初のオリンピック連覇を果たした鉄人。鹿児島県の伊敷村で12人兄弟の次男として誕生。幼少期、もともと水が苦手だった鶴田だが兄に川に投げ込まれたことをきっかけに水泳をはじめると、人並みはずれた才能を発揮するようになる。1924年(大正13年)頃、佐世保海兵団に入隊、水平部へ入り本格的に水泳にとりくむ。1925年(大正14年)には明治神宮競技大会に出場し、200m平泳ぎで優勝、さらに日本選手権水泳競技大会でも200m平泳ぎで優勝し一躍注目選手となった。そして1928年(昭和3年)、アムステルダムオリンピックに出場すると、当時の世界記録保持者を抑え金メダルを獲得した。この金メダルは日本競泳史における初めてのものである。鶴田の快進撃は続き、1929年(昭和4年)には200m平泳ぎの世界記録を樹立した(2分45秒)。明治大学を卒業し南満州鉄道に就職していた鶴田にロサンゼルスオリンピックへの出場の声がかかる。しかし若手有力選手・小池禮三のサポートとしての参加であり、記録を落としていた鶴田は引退を考えていたという。ところが大会中に次第に調子を上げた鶴田は、なんと200m平泳ぎ決勝で優勝、日本人初のオリンピック連覇という快挙を成し遂げた。これは現在においても男女通じて鶴田と北島康介しか成し遂げていない偉業である。なお、このロサンゼルスオリンピックの女子200m平泳ぎには前畑秀子が出場していたが、1位と0.1秒差という僅差で銀メダルとなっている。 戦後、妻の故郷である愛媛に移住。日本水泳連盟の理事を長年務め後進の育成と指導に尽力し続けた。1986年(昭和61年)7月24日、死去。死因は脳梗塞。 鹿児島市伊敷八丁目国道3号沿いにある鶴田の生家には子孫である姪夫婦が住んでおり、近くには鶴田の偉業を今に伝える顕彰碑と銅像が建つ。なお、2019年のNHK大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』では大東俊介が鶴田を熱演した。
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